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ふうぼう

風貌

小山 清

――太宰治のこと

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,448 字 · 32 页

青空文庫

日を置いて、太宰さんから返事の葉書が来た。それを見ると、太宰さんも大変な様子であった。稿料のことは雑誌社に至急送るように云ったと書いてあり、これにも亦、塚より外に住むばかりとしてあった。私が北海道にいる間に太宰さんからもらった便りは以上の二通だけである。

逝くなられたので上京したとき、三鷹の家で、机のわきにある馴染の小抽出の中に、私宛の出さずにしまった葉書のあるのを見つけた。私が電報を打った当時のものであるが、夢は枯野の状態という文句がある。

夕張は山の炭坑町なので、雑誌など思うようには手に入らず、太宰さんのその後の作品もろくに読んでいないので、簡単な葉書の文面だけでは様子も知れなかった。太宰さんはふだん軽く冗談のような物云いをするので、こちらもつい軽く聞き流してしまうことがある。もらった葉書のどっちにも判で押したように、塚より云々としてあるのを見て、私は変な気持がした。無心除けのお呪いではないかと僻んだことを考えたりした。二度目の葉書には、病気になった上に、女の問題がいろいろからみ合い、文字どおり半死半生の現状也など書いてあったが、私はそれを半分は惚気だと思った。