轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

もちのタタリ

餅のタタリ

坂口 安吾

「講談倶楽部 第六巻第一号」1954(昭和29)年1月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,869 字 · 18 页

青空文庫

思わず足音を殺すようにして廊下を歩いていると、庭でコツンバシャンとかすかな音がする。立ち止って耳をすますと、どうも氷をわる音だ。まだ氷が厚くないらしく、竹竿ようのもので誰かが池の氷をわっているようである。

「さては鯉泥棒だな。大晦日だというのに商売熱心の奴がいるものだ。大方正月のオカズにしようというのだろう。悪い奴だ」

そッとシンバリ棒を外した平吉が、ガラリと戸をあけると、その棒をふりかぶって、

「この泥棒野郎!」

と暗闇の中へおどりこむと、泥棒は竹竿を池の中へ投げすてて逃げてしまった。家族の者がおどろいて起きてきたので、平吉はチョーチンをつけさせて池のフチへ行ってみると、池の中に浮いてるのは彼の家のホシモノ竿であるが、そのほかに安物のツリ竿、ビク、そして手ヌグイ包みが一ツ落ッこちている。包みの中から見なれない変なものがでてきた。

「魚の餌しては変だなア。なんだろう? まだ、ビクはカラだな。一匹もつらないうちに、道具一式おき忘れて逃げちまやがった。いい気味だ」

そこで平吉は戦利品を屋内へ持ち帰って、

「これを取りあげちまえば、もう今晩は盗みができない。一本十円ばかりのこの安竿で何百円何千円という鯉を盗みとろうとはふとい野郎がいるものだなア。