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きょうおうふじん

饗応夫人

太宰 治

「光」1948(昭和23)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,914 字 · 13 页

青空文庫

のところにしゃがみ、かなりの血をお吐きになりました。私は大声を挙げて井戸端から走って行き、うしろから抱いて、かつぐようにしてお部屋へ運び、しずかに寝かせて、それから私は泣きながら奥さまに言いました。

「だから、それだから私は、お客が大きらいだったのです。こうなったらもう、あのお客たちがお医者なんだから、もとのとおりのからだにして返してもらわなければ、私は承知できません。」

「だめよ、そんな事をお客さまたちに言ったら。お客さまたちは責任を感じて、しょげてしまいますから。」

「だって、こんなにからだが悪くなって、奥さまは、これからどうなさるおつもり? やはり、起きてお客の御接待をなさるのですか? 雑魚寝のさいちゅうに血なんか吐いたら、いい見世物ですわよ。」

奥さまは眼をつぶったまま、しばらく考え、

「里へ、いちど帰ります。ウメちゃんが留守番をしていて、お客さまにお宿をさせてやって下さい。あの方たちには、ゆっくりやすむお家が無いのですから。そうしてね、私の病気の事は知らせないで。」

そうおっしゃって、優しく微笑みました。

お客たちの来ないうちにと、私はその日にもう荷作りをはじめて、それから私もとにかく奥さまの里の福島までお伴して行ったほうがよいと考えましたので、切符を二枚買い入れ、それから三日目、奥さまも、よほど元気