轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
きょうおうふじん
饗応夫人
「光」1948(昭和23)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,914 字 · 13 页
笹島先生は、酒をお猪口で飲むのはめんどうくさい、と言い、コップでぐいぐい飲んで酔い、
「そうかね、ご主人もついに生死不明か、いや、もうそれは、十中の八九は戦死だね、仕様が無い、奥さん、不仕合せなのはあなただけでは無いんだからね。」
とすごく簡単に片づけ、
「僕なんかは奥さん、」
とまた、ご自分の事を言い出し、
「住むに家無く、最愛の妻子と別居し、家財道具を焼き、衣類を焼き、蒲団を焼き、蚊帳を焼き、何も一つもありやしないんだ。僕はね、奥さん、あの雑貨店の奥の三畳間を借りる前にはね、大学の病院の廊下に寝泊りしていたものですよ。医者のほうが患者よりも、数等みじめな生活をしている。いっそ患者になりてえくらいだった。ああ、実に面白くない。みじめだ。奥さん、あなたなんか、いいほうですよ。」
「ええ、そうね。」
と奥さまは、いそいで相槌を打ち、
「そう思いますわ。本当に、私なんか、皆さんにくらべて仕合せすぎると思っていますの。」
「そうですとも、そうですとも。こんど僕の友人を連れて来ますからね、みんなまあ、これは不幸な仲間なんですからね、よろしく頼まざるを得ないというような、わけなんですね。