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しゅせきとばっせき

首席と末席

佐々木 邦

「雄弁」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,378 字 · 15 页

青空文庫

又イエスとやったよ。『月給、二十円』『ノウ/\』『二十五円?』『イエス/\、教師値段』先生オールライトと来た」

「教師値段はひどいね」

「何うも僕はイエスとノウ以外を言うと直ぐに間違う」

と寺島君は笑っていた。

私達は、

「変だね」

「何うも不思議だ」

と小首を傾げた。

「ジョーンズさんは矢っ張り気が咎めて償いをしたんだよ。ジョーンズ・アンド・ジョーンズというのはジョーンズさんの親類がやっている商館だぜ」

「然うさ。予定の行動だったんだよ」

「同じ俸給なら田舎よりも横浜の方が好い」

「学校より商館の方が見込みがある」

「斯うと分っていたら、おれも追加卒業になるんだったになあ」

と私達は寺島君を羨んだ。

今更恥を言うようだが、私は首席で全校切っての秀才だった。ジョーンズ博士初め諸先生に望みを嘱されていた。多少天狗になっていたものだから、同級生がボツ/\都落ちを始めても、自分丈けは東京に踏み留まれる積りだった。しかし間もなく東京は不可能と覚ったので、東京から三四時間のところと条件をつけた。当時は若かった。官立へ割り当てた余りの口が私立へ廻って来ることを知らなかったのである。