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えきふにっき

駅夫日記

白柳 秀湖

「新小説」1907(明治40)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,989 字 · 69 页

青空文庫

プラットホームで足立さんに会って挨拶をしていると、今の一件です。

駅長さんが飛び出したもんですから、私もすぐその後へついて行った。この児が」といいかけてちょっと私の方を見て、「野郎に突き倒されるのを見ると、グッと癪に障って男の襟頸を引っ掴んで力任せに投げ出したんです、するとちょうど隧道に支えた黒煙が風の吹き廻しでパッと私たちの顔へかかったんでどうなったか一切夢中でしたけれども、眼を開いて見ると可哀そうに野郎インバネスを着たまま横倒しに砂利の上に這いつくばっている……」

「マア!」と言うて人のいい細君は眉を顰めた、私も敵ながらこの話を聞いては、あんまりいい気もしなかった。

「それから足立さんと二人で、男を駅長室に連れ込んで談して見たところが、イヤどうも分らないの何のって、工学士と言えば、一通りの教育もありながら、あんまり馬鹿げていて、話にも何にもならないです」

「悪かったとも何とも言わないのですか」

「ヤレ駅夫が客に対してあんまり無法なことをするとか、ヤレ自分は工学士で汽車には慣れているから、大丈夫飛乗りぐらいは出来るとか、まるで酔漢を相手にして話するよりも分らないのです。