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えきふにっき
駅夫日記
白柳 秀湖
「新小説」1907(明治40)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,989 字 · 69 页
いや、僕にしてからがこれからの社会はどんなであろうとか、いつそんな社会になるであろうというようなことを深く考えるのは大嫌いだ、またそんな暇もないのだが、少くも現在自分たちは朝から晩までこんな苦しい労働をしてもなぜ浮ぶ瀬がないのか、なぜこんな世知辛い社会になったのか、また自分たちと社会とはどういう関係になっているのかということぐらいは皆が知っていてくれなくちゃあ困る、僕が先刻話したようなことをだね」
小林監督は私を非常に愛してくれる。今日も宵から親切に話し続けて今の社会の成立をほとんど一時間にわたって熱心に説明してくれた。「先年大宮で同盟罷工があってから、一時社会では非常にあの問題が喧しかったが、労働者はそう世間で言うように煽動て見たところで容易く動くものじゃあない、世間の学者なんという奴らが、同盟罷工と言えばまるでお祭騒ぎでもしているように花々しいことに思うのが第一気に喰わねい、よしんば煽動たにしろ、また教唆したにしろ、君も知っての通りあの無教育な連中が一個月なり二個月なり饑を忍んで団結するという事実の底には、どれほどの苦痛や悲哀があるのか知れたものではない」