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ほねをけずりつつあゆむ
骨を削りつつ歩む
佐左木 俊郎
――文壇苦行記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,044 字 · 10 页
労働をして帰ってから、長篇を書く時などは、一晩の中に十五六枚書けたこともあった。そんな時は一時過ぎまでも起きているので、翌朝六時に家を出かけるのは随分辛かった。
秋になって私は、加藤武雄氏の鞭捷によって一入の努力を続けた。そして工事場では詩を作るのをやめ、休息の時間を利用して読書をすることにした。十一月には赤痢にも罹って床に就いたりしたが、私に取ってはこの年ほど勉強の出来た年はない。本もかなり厚いのばかりが二十数冊読めた。こうした労働はいいものだ。だからやっているのではないが、私は今も半労働を続けている。今この原稿を書いている私の手は、皸と罅とで色が変わっているほどだが、晩年のトルストイの手のことを思うとなんでもない。ただ、皸に貼った膏薬のために、手がこわばって困るだけだ。しかし、去年の五月から今年の一月十日までに、二篇の長篇と、短篇を十九篇書き得たのだから、いくら労働しながらでも、今年はもっと書けることと思う。
――大正十四年(一九二五年)『文章倶楽部』三月号――