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こつぼとけ
骨仏
久生 十蘭
「小説と読物」1948(昭和23)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,105 字 · 5 页
「どうです。あなたも焼いてあげましょうか。おのぞみなら釉をかけてモフル窯できれいに仕上げてあげますがね」などと空をつかってはぐらかしてしまった。
きょうはどうしたのかむやみにはかがいく。たてつづけにグビ飲みをやっていたが、
「春は野も山も、百合の花盛リーイ、行きすゅる袖の匂のしおらしや……」
とめずらしく琉球の歌をうたいだした。
「いい歌だね。それに似たようなのが内地にもあるよ……野辺にいでて、そぼちにけりな唐衣、きつつわけゆく、花の雫に。それはそうと、きょうはひどくご機嫌だね」
伊良はニコニコ笑いだして、
「まだ申しあげませんでしたが、わたしの磁器もどうやら本物の白に近くなってきたようで、きょうはとても愉快なんです」と力んだような声でいった。民芸では食っていけないので、ファイアンスの模造をはじめたが、予期以上にうまくいきそうなので、手本を追いこすくらいのところまでやってみるつもりでいる、とめざましく昂奮しだした。
「日本の磁器は硬度は出るのですが、どこか煤っぽくて、どうしてもファイアンスのような透明な白にならないんですね。ひと口に白といっても、白には二十六も色階があるので、日本磁器だけのことではなく、すぐれた磁器をつくるということは、要するにより純粋な白に近づけようという競争のようなものなんですよ。