轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こつぼとけ
骨仏
久生 十蘭
「小説と読物」1948(昭和23)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,105 字 · 5 页
「ともかくそれは大事業だね。切にご成功を祈るよ」
「ところが、このごろ人骨が手に入らないので、仕事がすすまなくて弱っています。フランスでは磁器に使う分は政府が廃骨を下げわたしてくれるので楽ですが、日本にはまだそんな規則もないし、いざ欲しいとなると、これでなかなか手に入りにくいもんです」
というと、ジロリとへんな上眼づかいをした。
肉親も親戚もみな戦災し、死ねば伊良が葬うほかないのだから、骨の始末は心のままだ。ひょっとすると、伊良はこの骨に眼をつけて、毎日じりじりしながら死ぬのを待っているのかも知れない。大きにありそうなことだと考えているうちに、なるほどこれが伊良の復讎なのかと、それではじめて釈然とした。
細君がほんとうに機銃掃射でやられたのかどうか、それを知っているのは窯だけだ。伊良がそういうつもりでかかっているのなら、これはもう皿にされるのはまぬかれないところなので、
「困ることはないさ。死んだらおれの骨をやるよ。期待していてくれたまえ」
と先手を打ってやると、聞えたのか聞えないのか伊良は、
「ああ、酔った酔った」
と手枕でごろりとそこへ寝ころがって鼾をかきだした。