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たかいきとこどものはなし
高い木と子供の話
小川 未明
「キング」1929(昭和4)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,979 字 · 10 页
」
母親は、むきになってしかりました。善吉はしまいにかなしくなって、しくしくと泣き出しました。そして、小さな胸の中で、
「ほんとうに、おれは、ここの家に生まれたのでなくて、拾われてきたのだろうか。」と、悲しかったのであります。
そのときは、母親のいうことを聞いて、手助けをしましたが、すぐにほかの子供たちの楽しそうな呼び声や、笑い声をききますと、広い、自由の世界が恋しくなりました。
あるとき、みんなで木登りをしたときに、善吉はだれよりも上手でありました。相撲をとったり、走りっこをしたのでは、いつでもいちばんに上手だといわれなかったけれど、木登りにかけては、自分は、だれにも負けないという自信ができました。
ほかのものが、怖ろしがって、低いところで、枝につかまって、それから上へ登り得ないのを見ると、自分は、ぐんぐん上へ、上へと登っても、けっして、怖ろしくないばかりか、ますます気持ちがはればれしくなるのを知ると、なんともいえず、愉快でたまりません。
「おうい、ここまで登ってくると、海が見えるぞ!」と、善吉は、高いすぎの木の、いちばん先の細くなっているあたりまで登って、下に小さくなってみえる友だちに向かっていいました。