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たかいきとこどものはなし
高い木と子供の話
小川 未明
「キング」1929(昭和4)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,979 字 · 10 页
」
「おらでないぞ。」
「善ちゃん……。」
子供たちは、口々に、おれでないといいはりました。そして、善吉であることを告げ口したのです。善吉は、下を向いて、顔を赤くしていたが、心の中で、友だちの卑怯なのを憎んでいました。自分に捕れといったのは、おまえたちではないか。そして、みんなで、遊んでいたのでないか。それを、しかられるときには、おれにだけ罪をきせようとする、なんという頼みにならないやつだろう、と思っていました。
「おまえか、からすの子を捕ったのは?」
地主のおじいさんは、怖ろしい顔をして、善吉をにらみました。
「はい。」と、善吉が、正直にうなずいた。
「その子供を巣の中へ返してくるだ! あのとおり、親がらすが鳴いている。」と、おじいさんは、善吉に命じました。
林は、風のために波立っていました。からすは火の子の飛ぶように、空に黒く、鳴きさわいでいました。そして、日は、だんだんと暮れかかっていたのです。善吉は、からすの子を抱いて、地主の後についてゆきました。
ふいに、善吉の母親が、飛び出した。
「だんなさん、からすの子が大事か、人間の子が大事か。この大風に、あなたはあの高い木へ登らせなさる気なのですか……。