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かみ

髪

織田 作之助

「オール読物 十一月号」1945(昭和20)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,381 字 · 17 页

青空文庫

それ故私は高等学校にはいってから伸ばそうという計画を樹て、学校もなるべく頭髪の型に関する自由を許してくれそうな学校を選んだ。倖い私のはいった学校は自由を校風としていた。授業のはじめと終りに鳴る鐘は自由の鐘とよばれていて、その学校のシンボルであった。寄宿舎も自由寮という名がついていた。

私はその名に憧れて自由寮の寮生になった。ところが自由寮には自治委員会という機関があって、委員には上級生がなっていたが、しかしこの委員は寮生間の互選ではなく、学校当局から指命されており、噂によれば寮生の思想傾向や行動を監視して、いかがわしい寮生を見つけると、学校当局へ報告するいわばスパイの役をしているということであった。そのために手当を貰っているという説を成すものもあった。私は手当云々は信じられなかったが、しかし自治委員の前では自分の思う所を述べられないと思った。が、たった一つ彼等の眼をくらますことの出来ないものがあった。それは私の髪の毛である。ある日それは丁度私の髪の毛がはじめて左右に分けられた日のことであったが、あの自治委員は私を呼んで、頭を丸刈りにすべしと命令した。