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きちくのことば
鬼畜の言葉
宮本 百合子
「青年新聞」1949(昭和24)年5月24日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,082 字 · 5 页
戦時中彼はヨーロッパ漫遊をしてナチスと兄弟となっていた日本権力の活躍ぶりを視察して、本も著している。鈴木文史朗の暴言に答えて「そんなことはできない」と答えたときのパロット氏の表情が見たかった。鈴木文史朗という新聞記者だったものがアメリカまで行ったあげくなおこういうものいいをするぐらいなのだから、日本人の残虐性は根づよいと思わずにいられまい。広島の平和都市、長崎の国際都市建設案を、議会満場一致で賛成、感謝したところで、民間人の代表めかしてものをいう人の本心が、こうも荒々しい実際を見れば、して貰うことは何でも感謝の、こじき根性と衷心において侮蔑を感じられてもしかたがあるまい。
わたしたちは、自分を、何千万かを殺す立場におこうなどとは思えもしない人民たちである。鈴木文史朗の暴言に対して、平和な、人間らしい心のすべての日本人の声として、つよく抗議する。鈴木文史朗にも妻子があり孫子もあるだろう。日本にのこっている封建的感情は、ハイ・ボールの一杯機嫌で気焔をあげるにしても、すぐ生殺与奪の権をほしいままに握った気分になるところが、いかにもおそろしいことである。