轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まぞう

魔像

林 不忘

新版大岡政談

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 页

青空文庫

で、いくらこっちばかり一人で怒っても、相手が黙り込んでいるのでは、喧嘩にならない。そこで、こうまで言ったら怒るだろう、怒ったら面白いぞ、という肚で、近江之介は呶鳴ったのである。

「卑怯者ッ――!」

そして、呶鳴ってしまってから、近江之介は、自分でもほんとに怒れて来た。

四

いま、老体の大目附も、咳払いと一しょに下城してしまう。

あとは、ちょっと森閑としている。

御書院番衆はやれやれと寛ぎ出して、急にそこここに話声も起り、中断されていた喬之助いじめをまたはじめようとそっちのほうを見ると、もう皆頭を上げているのに、喬之助だけは、まだ平蜘蛛のように畳に手をついている。

袖ひき、眼配せして、一同は喬之助を取り囲んだ。

箭作彦十郎は変にねっとりした口調である。

「神尾氏、居眠ってござるかの? あははは、その初夢に拙者もあやかりたいほどじゃが、ここは殿中、さまで疲労しておらるるなら、悪いことは言わぬ。下城って御休息なされい」

「疲労?」長岡頼母が頓狂な声をあげる。「疲労はよかったな。園絵殿と番の蝶では、如何な神尾氏も疲労されるであろうよ」

下卑た言い草である。