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まぞう

魔像

林 不忘

新版大岡政談

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 页

青空文庫

銘めい柄を叩いて、一時に喚いた。

「ナ、何奴ッ!」

「神尾だ……ナ」と確かめて、「どこからはいった」

感心したように訊いたのは、家主の半九郎だ。バタバタバタ、廊下を転げ去って行く侍女の跫音がしていた。

源助町の丹ちゃんには、怖いものがない。一歩前へでた。

「お前さんかえ、喬之助さんてエのア、大した評判だぜ。何かえ、お城番士の首を十七、片ッ端から落して廻るんだってえじゃアねえか。止しな、よしな。もう三人首にしたんだから、悪いこたア言わねえ。ここらで負けて置きなってことよ。それがおめえの、身のためてエもんだぜ」

縁日の植木でもひやかすようにしきりに、負けろまけろと言っている。

すると、元番士神尾喬之助……ではない、紛らわしいが、これは、喬之助に化け澄まして――ナニ、化けなくても、生地のまんまで喬之助ソックリなんだが、その上、斬込みの時の着付けまで寸分同じな、神田は帯屋小路、今評判の喧嘩渡世人、茨右近先生だ。ニッコリ笑って、呆気に取られている六人へ、不思議な、呪文みたいな文句を唱えはじめた。

「アハハハ、逆さ屏風とは驚いたろう。裏の坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた。