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まぞう

魔像

林 不忘

新版大岡政談

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 131,494 字 · 260 页

青空文庫

「金山寺屋の音松と申す者だな」

「はい。申し遅れまして相済みません。日本橋長谷川町にて御用をうけたまわっております音松というやくざ者でございます」

「まあ、そう四角張らんでもよい」忠相は声を笑わせて、「もそっと寄れ」

「へえ」音松は一寸五分ほど前へ出ながら、「急のお召しで、何の御用かと宙を飛んで参りました。わっしみてえな者に、直接のお眼通りで、何とも――」

しきりに頭をかいていると、越前守がいきなり言い出した。

「音松……と申したナ。わしは何だぞ、まだ一度も、早朝、富士見の馬場へ試乗に参ったことはないぞ」

四

池上新六郎、山路重之進、飯能主馬、横地半九郎、妙見勝三郎、日向一学、保利庄左衛門、博多弓之丞、笠間甚八、峰淵車之助、箭作彦十郎、荒木陽一郎、それに、屋敷のあるじ長岡頼母。

及び、源助町からは、三羽烏の大矢内修理、比企一隆斎、天童利根太郎。その他、春藤幾久馬、遊佐剛七郎、鏡丹波らほか数名。大一座である。

酒肴が出ると座が乱れて、肝腎の相談が出来ないというので一同素面である。ズラリと大広間に居流れて評定の最中だ。

「もうこれで四人殺られている。