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うおとはくちょう
魚と白鳥
小川 未明
「童話」1924(大正13)年3月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,956 字 · 8 页
もう、おまえは、二度と私のところへは帰ってこられない。あの赤いのは、人間が、火をたいているのだよ。そして、私たちをだまして、水の上へ呼び寄せようとしているのです。もし、いってごらん。人間が、大きな網で、みんなすくってしまうから……。」と、いいきかせました。
子供は、なんという怖ろしいことだろうと思いました。じっと、水の底に沈んで、暗い上の方で、一ところだけが、赤く、電のように、ちらちらと火花を散らしているのを、怖ろしげにながめていました。
「お母さん、春になると、どうなるのですか?」
と、子供は、いいました。
子供は、去年の春、生まれたので、まだ、今年の春にはあわないのであります。すると、母親はいいました。
「春になると、水の上が、一面に明るくなるよ。けっして、あのように、一ところだけが、赤く、明るくなるというようなことがありません。」と、よく教えました。
子供はそれから、暗い水の底を、お友だちと、あまり遠くへはいかずに、泳いでいました。なんといっても、水の底は暗いので、それに、そこばかりにいると飽きてしまって、早く、自由に、広い世界へ出てみたかったのです。