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あゆのくいかた
魯山人の食卓
北大路 魯山人
北大路魯山人『魯山人の食卓』。同一底本的分册已合并为一书。收入:鮎の食い方、いなせな縞の初鰹、鰻の話、京都のごりの茶漬け、車蝦の茶漬け、塩昆布の茶漬け、鍋料理の話、握り寿司の名人、日本料理の基礎観念、鱧・穴子・鰻の茶漬け、一癖あるどじょう、河豚は毒魚か、鮪の茶漬け、鮪を食う話、味覚馬鹿、夜寒に火を囲んで懐しい雑炊。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 54,022 字 · 115 页
このころの東京は、見渡すところ寿司屋ばかりの食べ物横丁かと思わせるほどの軒並であった。雨後の筍どころのさわぎではない。しかし、われわれがいう寿司らしい寿司を作る店は、そうたやすく見当たるものではなかった。われわれとて、軒並食って歩いたわけではないが、通りがかりに横目で見て、上・中・下どんな寿司を売る店か分るのである。もちろん、こうなるまでには、大分寿司代を払っている。心ある者は贅沢屋の評判ある有名店に飛び込んで経験するほかに近道はなかろう。かといって、二十歳や三十歳くらいの青年期では、酢加減がどうの、まぐろの本場物、場違い物などとみてとれるはずがない。善かれ悪しかれ、なんでもかでもうまく食える。大方の青年層はふんだんに食えれば、それで大満足というわけだから、寿司屋の甲乙丙はまず分るまい。寿司談義は小遣銭が快調にまわるようになり、年も四十の坂を越え、ようやく口が贅って来てからのことになる。
飯を少なく握れの、わさびを利かせの、トロと中トロの中間がよいのというようになって来るのはこの頃からで、その連中は昔だと、茶の熱いうまいやつをよろこんで寿司を味わったものだ。