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あゆのくいかた

魯山人の食卓

北大路 魯山人

北大路魯山人『魯山人の食卓』。同一底本的分册已合并为一书。收入:鮎の食い方、いなせな縞の初鰹、鰻の話、京都のごりの茶漬け、車蝦の茶漬け、塩昆布の茶漬け、鍋料理の話、握り寿司の名人、日本料理の基礎観念、鱧・穴子・鰻の茶漬け、一癖あるどじょう、河豚は毒魚か、鮪の茶漬け、鮪を食う話、味覚馬鹿、夜寒に火を囲んで懐しい雑炊。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 54,022 字 · 115 页

青空文庫

いたずらに死に恐怖を感ずるのは、常識至らずして、未だ人生を悟らないからではないか。

さて、このふぐという奴、猛毒魚だというので、人を撃ち、人を恐れ戦かしめているが、それがためにふぐの存在は、古来広く鳴り響き、人の好奇心も動かされている。しかし、人間の知能の前には毒魚も征服されてしまった。

人間はふぐの有毒部分を取り除き、天下の美味を誇る部分をのみ、危惧なく舌に運ぶことを発見したのだ。東京を一例に挙げてみても、今やふぐは味覚の王者として君臨し、群魚の美味など、ものの数でなからしめた。ためにふぐ料理専門の料理店は頓に増加し、社用族によって占領されている形である。関西ならば、サラリーマンも常連も軒先で楽しみ得るが、東京はお手軽にいかない怨みがある。下関から運ばれるふぐは、東京における最高位の魚価をもっている。

この価格も一流料理屋では、もとより問題ではない。のれんを誇った料理の老舗も、「ふぐは扱いません」などとはいっておられず、我も我もとふぐ料理の看板を上げつつあるのが、きょうこのごろの料理屋風景である。しかし、私はこの実情を憂うるものではない。否、むしろ推奨したいひとりである。