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いっさのしょ

魯山人書論

北大路 魯山人

北大路魯山人『魯山人書論』。同一底本的分册已合并为一书。收入:一茶の書、覚々斎原叟の書、春屋の書について、南浦紹明墨蹟、人と書相。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,161 字 · 11 页

青空文庫

この点、副島種臣に如く者は他に一人もない。徳川期にもその跡なしといい切れるであろう。芸術的であり、美術的であり、自ずからなる品位が備わっている。副島伯に学んだ如き者に中林梧竹があるが、これは単なる書家と称する職業人であって、偉大なる人物という内容を持たない一種の芸能人であって、共に論ずべきものではない。われわれが常々蔑視するものに、書能を職業とする書家というものがあって、それの仲間である。すなわち、内容に欠けているために、その価値は問題にならないのである。

昔は苟も政治を論ずるほどの者は、いずれも書道に関心をもち、その多数は書をよくし、書の拙劣をもって深く恥ずるところがあった。しかるに、現今は世の推移と共に、その趣きは全く地を払い、一流人と雖も書をもって名を成す者は、彼の中国に皆目観るを得ず、日本においても書道を等閑に付するの風潮があり、真に慨歎に堪えざるところ、たまたま元の総理吉田茂氏あって、聊か意を強くするものがある。近作としては緒方竹虎氏の墓の如きを良しとなす。現今何人といえども、これに匹敵する書を見ず。あるいは政治家中最後の一人たるやも知れず、現今の政治家で、かかる人の存するは吾人すこぶる意を強くする次第なり。