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めいせつじじょでん
鳴雪自叙伝
内藤 鳴雪
在线阅读内藤 鳴雪《鳴雪自叙伝(めいせつじじょでん)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 192,693 字 · 377 页
世子と共に私も下りて見たが、上下周囲凡て石造で暗黒な上に身も冷や冷やする。ここは終に落城という時に、君公や近習等の者が自殺するために設けられたもので、上の天主閣へ火を縦てば、それが焼け落ちて総ての死骸が灰となってしまう。それを敵から邪魔をしようと思っても、鉄の扉だからなかなか明かない。また外から閂があるから最初はまさかこの内に人がいようとは思わないのである。私はここへ下りた時に、幕府その他の不振な事を考えて、早晩長州勢に攻め込まれて、彼は熟練した多数兵、我は熟練せぬ少数兵であるから、とても防禦は仕終おせない。そうして世子の気性としては、浜田藩主や小倉藩主の如く他へ落ち行くということは承知せられないから、仮令藩主だけは、いたわって落し参らせるとしても、世子や近習の者は本丸を守って、終にはここで一同枕を並べて死なねばならぬと思うと、今から何だか変な気になったことである。しかるに後から知ってみれば、長州は薩州と聯合の約が出来て、今度は反対に幕布討伐の密計が進行していたのだから、我藩等の如きにはさほど復讐戦をする考えはなかったのである。しかのみならず、この頃我藩からも一時の権略として、或る使者を長州へ遣わしていた。