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あへんをのむびしょうねん

鴉片を喫む美少年

国枝 史郎

「オール読物」1931(昭和6)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,061 字 · 21 页

青空文庫

しかし実のところその時ばかりは、その少年を見た時ばかりは、忽然としてかなり烈しい、同性恋愛者になってしまった程、その少年は美しく、そうして魅惑的で肉感的だった」と。

その少年がそれだったのだ。この物語の主人公だったのだ。

名は? さよう、宋思芳と云ったよ。

(云う迄もなく後から聞いたんだがね)

宋思芳は鴉片を煉り出した。

ところがどうだろう、その煉り方だが、問題にもならず下手なのさ。

君には当然解るまいと思うが、鴉片の煉り方はむずかしく、上手に煉ると飴のようになるが、下手に煉るとバサバサして、それこそ苔のようになってしまって、鴉片の性質を失ってしまい、そうして煙斗へ詰めることが出来ず、従って喫うことが出来ないのだ。

少年の煉り方がそうだったのさ。で、幾度煉り直しても、苔のようになってしまったのさ。

僕は思わず吹き出してしまった。

僕はまだ鴉片を喫っていなかった。喫うのを忘れてその少年の美と、その美しい少年の、不器用極まる鴉片の煉り方とに、先刻から見入って居ったのさ。

「僕、煉ってあげましょうか」

とうとう僕はこう云った。

「有難う、どうぞお願いします」