轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おうがい・あくたがわ・きくちのれきししょうせつ
鴎外・芥川・菊池の歴史小説
宮本 百合子
「古典研究」1940(昭和15)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,337 字 · 24 页
三斎公の言葉として、作者鴎外は、「総て功利の念を以て物を視候わば、此の世に尊き物はなくなるべし」と云っている。乃木夫妻の死という行為に対して、初めは半信半疑であった作者が、世論の様々を耳にして、一つの情熱を身内に感じるようになって彌五右衛門が恩義によって死した心を描いたのは作者の精神の構造がそこに映っている意味からも面白いと思う。当時五十歳になっていた森鴎外は、このような生々しい動機から我知らず彼の一つらなりの「歴史もの」に歩み出したのであった。
封建のモラルをそれなりその無垢を美しさとして肯定して書いた第一作から、第二作の「阿部一族」迄の間には、作者鴎外の客観性も現実性も深く大きく展開されている。芸術家としての鴎外が興津彌五右衛門の境地にのみとどまり得ないで、一年ののちには更に社会的に、その社会を客観する意味で歴史的に、殉死というテーマをくりかえし発展させて省察している点は、後代からも関心をもって観察せられるべきであろうと思う。
「阿部一族」を鴎外自身、殉死小説と日記に書いているのだそうだが、この作品は決して単純にその一面だけに主点のおかれた内容ではない。