轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
こうのすにょうぼう
鴻ノ巣女房
矢田 津世子
「文芸」1941(昭和16)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,884 字 · 24 页
そして、この織物のおかげで、ひどく裕福に暮せるようになった。或る夜、その女が云うには、娘ももう食べ物をやっておけば大丈夫だから私に暇をくれろという。男は驚いて何して今頃そんなことを云うのかと尋ねると、これまで私もずいぶん稼いだけれど今では精も根もつきはてたから元の性に還りたい。実は私はいつぞやお前に助けられた鴻の鳥である。なぞにかして御恩返しをしたいと思って私の代りに一人娘を残して行く。そして、あの機を織る時、私の体の毛はみんな抜いて織ったので今ではこのようになったというて、赤裸になった体をみせ、わずかに残っている風切羽で山のほうへばさばさと飛んで行った。
今年四十二歳のぎんは、この昔話をきいた晩、泣けて仕様がなかった。枕につっ伏して声をしのんで、ながいこと泣いていた。
ぎんがこの「あたりや」に女中奉公してから、もう、十年あまりになる。「あたりや」もこの六本木通りでは相当に名のきこえた唐物屋だったけれど、ここ数年来輸入物の仕入れがむずかしくなったところから、とかく商いも不如意がちになり、それかといって今さら軍手や割烹着類を店ざらしにするような小商人になり下がるくらいならと依怙地な老主人は店を閉ざしてしまったが、今ではその店内にぎっしりとミシンをならべて、ぎんが頭になって請負のミシン作業に精を出している。