轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

つるはやみき

鶴は病みき

岡本 かの子

「文学界」1936(昭和11)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,495 字 · 53 页

青空文庫

」と平常ならば恥かしいような改まった口調で云った。先年主人が戯画に描いて氏を不愉快にしたのも其処から文学世界の記者川田氏が材料を持って来たのであるが、その後も氏が支那旅行から持ち越した病気が氏をなやませ続けている噂もまんざら嘘では無いらしい。氏は時々自分の長髪を掻きむしる。そして一二本の毛を指に摘んで自分の眼に寄せて見る癖が出来て居るらしい。私もたしか一二度その癖を見たような覚えがあり、今夜のように氏に対する崇拝心から愛惜の心が昂ぶって来ると、しみじみ氏の健康について云って見度い気になるのであった。

某日。――まだみんなが寝て居るうち、H屋の門を抜け出て、一人で朝の散歩に出た。自分乍ら、こんなことは珍らしいと思い乍ら、唐黍畑の傍を歩いて居ると停車場の方から、麻川氏がこっちへ歩いて来る。黒っぽい絽の羽織の着流し姿で小さいケースを携げて居る。真新らしい夏帽子も他所行らしく光っている。私に近づいた氏は、「やあ。」と咽喉に引き込んだような声で笑って、「僕、東京へ行って来ました。昨夜、おそく思い立ったんで御挨拶もしないで出かけましたが。」私「そして、こんなに早くお宅を出ていらしったんですか。