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マージャンさつじんじけん

麻雀殺人事件

海野 十三

「新青年」博文館、1931(昭和6)年5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,337 字 · 33 页

青空文庫

松山さんだけ奥に寝ている筈よ」

「ナニ、松山さんは本当に病気だったのか」

と帆村は、意外だという面持をした。

「あら、どうして? 気分がとても悪いんですって。お医者を呼びましょうかって、先刻きいたんだけど、いらないって仰有ったのよ。シンチャン達、しばらく見ていなすったんですけれど、もう遅くなったし、帰るからあとを頼むって帰っちゃったんですわ」

「そりゃ、すこし薄情だな」

「だってシンチャン達、遠いのよ。松山さんだけは、直ぐそこだから、そいでもいいのよウ」

と豊ッぺは、シンチャン達の郊外生活に同情ある弁明をこころみた。

「じゃ、僕、みてってやろうかな」

帆村探偵は、傍の小扉をあけて、小さな階段をコトコトと下って行った。下り切ったところが狭い廊下になっていて、そこにだだっ広い室がある。そこは、この建物にいる皆の寝室だった。障子を開いてみると、果してそこに寝床が一つ敷いてあった。頭が痛いというのに、松山は頭から夜具をひっかぶって寝ていた。

「松山さん、松山さん、どうですか、気分は」

と帆村は、だんだん声を大きくしていったが、松山はウンともスンとも返事をしなかった。