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マージャンさつじんじけん
麻雀殺人事件
海野 十三
「新青年」博文館、1931(昭和6)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,337 字 · 33 页
と雁金検事は感嘆した。
「しかしどうしてそれが松山の身体へ入って行ったでしょう」
「屍体の拇指の腹に小さい傷が一つありましたようですが」と警部が口を出した「深い彫りの中にある毒薬が傷をとおして簡単に身体へ入り得るだろうかね」と帆村に向って訊いた。
「犯人の準備は中々考えぶかいものです」と帆村探偵は何事かを思いうかべるかのように下唇を噛んだが「この松山虎夫は牌を持ってくるときに、拇指の腹でこの彫りのところを思いきりギュッとこする癖があるのです。それで今夜も毒薬のついている牌を、ひどく力を入れてこすった為めに、あの傷口から毒薬が入ったものと思われます」
「こいつは、よく判る」と検事が合槌をうった。
「私の経験から考えますと、この毒薬は阿弗利加産のストロファンツス草から採取したものだと思います。阿弗利加の原地人は、こいつを槍や矢の先に塗って敵と闘いますが、これが傷口から入ると心臓麻痺をおこします。用量が極めてすくなくてよいので効目があるのです」
「そんな毒薬をよく、川丘みどりがたやすく手に入れたものですね」と警部が疑い深そうに言った。
「僕はみどりが犯人だと、まだ断定していない」