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たそがれのこくはく
黄昏の告白
浜尾 四郎
「新青年」博文館、1929(昭和4)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,453 字 · 41 页
』
すると蓉子はこう云うのだ。
『あると云えばあることはあるんです。けれど、そんなことおききになったって仕方がありませんわ。』
僕はこれをきいてかっとなった。
『馬鹿! 俺を盲目だと思ってやがる。一体久子は誰の子だ!』
『何を云ってらっしゃるんです。』
蓉子はこういうと黙ってしまった。山本。これがほんとに僕の子ならすぐ答えるはずじゃないか。蓉子が何も云わないのは、いや、云えないのは、久子が僕の子でないという証拠じゃないか。」
「それからどうなったね。」
「僕はあまり不愉快だったから、黙って自分の部屋に戻ったんだ。そうして割れるように痛む頭を押えて、机に向って、どうかして心を落つけようと努力した。
そのうち蓉子も黙って床を敷いていた、僕は夜、側に人がいては仕事ができないので、妻子の隣室でねることにしてある。それで自分も蓉子に床をとらせて黙ったまま床に入ったのだ。それがちょうど十九日の十時頃だったろう。
さすがに蓉子もすぐはねつけなかったらしい。僕はしばらく床にはいっていたが、とうていそのまま眠れぬので、また机に向っていろいろ考えにふけったが、結局、蓉子を殺そう、という決心しかもち得なかった。