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たそがれのこくはく
黄昏の告白
浜尾 四郎
「新青年」博文館、1929(昭和4)年7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,453 字 · 41 页
君の感じは正しかったんだ。君の直観は正しかったんだよ! 大川、もう一つ云う、云わなければならない。君の夫としての直観は正しかったのだ。しかし全部が正しくはなかったのだよ。……僕は君が蓉子を殺したことを知ったのではない。また推察したのでもない。君は夫として芸術家としての直観と云ったね。しかし僕のは……僕のは、恋人として、愛人としての……」
ここまで夢中になって語ってきた山本はこの時はじめて大川の異状に気がついた。医師としての観念が彼を支配した。彼はいきなり電気のスイッチをひねった。照らし出されたベッドの上に、彼はもはや永久の眠りに入っている大川竜太郎を見出したのであった。
山本ははじめて友人の死体と対話していたことに気がついた。山本の最後に云った言葉がどこまで大川に聞えたか疑問である。しかし大川が聞かずに死んだとすれば、二人にとって幸福であったろう。なぜならば、山本正雄の語った言葉、そして更に語ろうとした言葉は地獄からでなければ聞き得ず、また地獄に陥ちなければ語り得なかった事実であったであろうから。
黄昏の告白はここで終る。
しかし次のことを一つつけ加えておかないのは事実に対して忠実ではなかろう。