轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きいろいばん

黄色い晩

小川 未明

「早稲田文學」1909(明治42)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,173 字 · 13 页

青空文庫

「一ッ、二ッ。」と口の中で言って、全速力を出して町へと行った。

やがて町へ入った。軒の低い、柱の曲った雁木がうねうねとつづいて、大抵の家は燈火をつけていたが、まだ燈火を点けずにいる家もあった。朝出て帰って来た車引などは、家の前に荷車を置いて、上からいろいろの道具を取り下しているのもある。また、私より一歩先に道具箱を担いで、帰って来たばかりの大工の家もあった。其様家の内の光景などを一々覗き込んで、町の中程になっている按摩の家を訪ねた――家は九尺二間で裡は真暗である――私は「今晩は。」といって入った。

暗がりの中で、ごとごとさしている音が聞えたけれど、私の声に返事をしない。

「按摩さんはいるかい。」といった。

「ハア……。」と、力のない老人の声が耳に入った。

「今直に来ておくれ、大病人があるから。」といった。私は大病人といわなければ按摩や医者などは直に来ない。だから、呼に行く時は大病人といった方が一番いいと誰やらがいったことを覚えていたのでそういった。

「何方様ですかえ。」と、暗がりから老人は聞いた。

「一番前の長屋だよ、早く来ておくれ。」

「お堂のあった辺ですかえ。