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“なぐさみのぶんがく”

“慰みの文学”

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《“慰みの文学”(“なぐさみのぶんがく”)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,156 字 · 3 頁

青空文庫

だから菊池の大衆文学には読者を「なるほどネ」といわせる力があっても、しかし読者を深く考えさせ、自分に疑問を持たせる、社会の進歩というのはどういうことなのかと反問させる力は絶対にない慰めによむ小説であった。こういうような性質を持つ菊池文学が愛された(換言すれば広く受入れられた)のは当然のこと、従って菊池の常識性の反面は戦争になればそれに適応した戦争を鼓吹し、戦争宣伝もどしどしやって疑問を持たなかった。戦争が一般人民にどんな犠牲を与え、しかも戦争物で自分がもうけてますます競馬馬を買うことが出来ても少しも疑問を持たなかった。「世の中とはそういうものさ」と思っていたのであろう。

こういうふうにみてくれば菊池寛が広く読まれたというのは日本の人民の社会的批判と自分の運命についての意思がハッキリしなかったということの反映だと思います。

たとえば講談社の出版物は広く読まれているが、しかしそれが日本の人民の幸福にどう役立つかといえば、戦争を鼓吹し、いまでもどこやら反動的な調子を持込んで明るい民主化をそらそうとしている。一人の作家が広く読まれるという場合、いつもそれは歴史の爪先の方向で読まれているか、おくれた踵の方で読まれているかということを私共は深く考えなくてはならない。