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「あかいはな ほかしへん」あとがき
「あかい花 他四篇」あとがき
神西 清
線上閱讀神西 清《「あかい花 他四篇」あとがき(「あかいはな ほかしへん」あとがき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,626 字 · 9 頁
総じて彼の「戦争物」の特色は、普通人の目には決してうつらぬ壮大な戦争絵巻を強いて描こうとはしないことである。彼は純粋に一兵卒の目をもって、閃々として去来する「戦争の赤い翼」のはためきを、素直に記しとどめるのである。
作家としての道の開けたのを見て、彼はその年の末ペテルブルグに帰って、創作に没頭した。この二三年間は彼が心身ともに健康にめぐまれて旺盛な創作力を示した時期で、『アッタレーア・プリンケプス』Attalea Princeps(八〇年発表)はこのころの所産である。これはあとにも述べるように動植物の世界に舞台を借りた一連の童話風の作品の一つであるが、その整った形式によってこの方面での彼の成功作とされている。青空を慕ってやまぬしゅろの運命に託されたこの苦渋な比喩物語は、絶望的なアイロニイをたたえながら、あんたんたる時代の空気につつまれた良心の苦悶を表わしている。これと同じ時期に書かれた作品には、『きわめて短い物語』をはじめ、『臆病者』、『邂逅』、『画家たち』、『一夜』など、すすり泣きと哀訴に貫かれた諸篇が数えられるが、なかんずく『従卒と士官』(八〇年、長篇の第一章として発表)は揺るぎない構成をそなえて、チェーホフの雰囲気ゆたかな短篇の先駆をなすかに見える佳作である。