輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

あすなろう

あすなろう

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《あすなろう》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 19,925 字 · 41 頁

青空文庫

板場では二人の喚く声がし、店の客たちは固くなって、それぞれの飯台に向ったまま、しんと息をころしていた。目明しふうの男は政の側へ来、彼の肩を十手で押え、「動くなよ」と云って、板場へはいっていった。

「金さんだいじょぶよ」と小女の一人が、あとから来た二人伴れの客の一人に云った、「あんたふるえてるじゃないの、飲んでたってだいじょぶよ」

「おれがふるえてるか」

「ふるえてるわよ」と他の小女も云い、小さな肩をすくめて含み笑いをした、「そら見なさい、お猪口が持てないじゃないさ」

客の伴れが笑って云った、「ふるえるのは金公の持病だ、酒の中毒でな、酔えばすぐにおさまるんだ、なあ」

「よしゃあがれ」金公と呼ばれた男が云った、「おらあふるえてなんぞいやあしねえや」

政は飯台に凭れたまま、そっと自分の両手を見た。顔には血のけがなかったし、手指はひどくふるえていた。指をひろげると、右手の中指と薬指とが、ふるえのために触れあうほどであった。

板場は静かになっていた。裏手のほうで三度ばかり呼子笛が聞えたが、三度めのはかなり遠く、そのあとは聞えなかった。客たちがほっとすると、仕切の繩暖簾から、この店のあるじが顔を出して、「お騒がせしまして済みません」