輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
うすゆきしょう
うすゆき抄
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《うすゆき抄(うすゆきしょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 30,454 字 · 59 頁
気がつくと、急に心が波立ってきた。
行子は感じたことや考えたことをすぐ口に出してしまう屈託のない気質で、いつもなら、あんなひとが後をついてくる、ぐらいのことをいうところだが、今日はそうは得しなかった。それどころか、目の早い供の中の誰かが気がついて、無礼なことを言い掛けたりしなければいいがと心配しだした。できるなら、どこまでもついてきてもらいたいので、供の仕打ちに腹をたて、どこかへ行ってしまったらどうしようと、それを恐れたのである。
邸第を見あげる山下まで行き、そこから坂道をのぼりだした。振返って見なかったけれども、依然としてその人が後にいることは勘でわかった。行子はこれが最初の恋愛の経験に酔い痴れて、頭のなかに霞がかかったようになり、まわりの景色がなにも眼に入らなくなった。それにしてもすこし大胆すぎる、お心はよくわかったから、これくらいにしておいてと心の中で呟いているとき、うしろで下司どものがさつな声がきこえた。そんなことがなければいいがと案じていたが、果して荷担ぎがここからやらぬの態でそのひとの前にたちふさがり、ここなる屋形は相模の一の分限者、蘆屋道益どのの別業、またこれなるは道益どのの一ノ姫にあられる。