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うずめられたかがみ

うずめられた鏡

小川 未明

線上閱讀小川 未明《うずめられた鏡(うずめられたかがみ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 5,962 字 · 12 頁

青空文庫

詩人なればこそ、幾世紀前の人間生活に興味をもち、心で美しく想像し、また、あこがれもしたのでありましょう。

博士は、へやへはいってきた小田さんに、こんどの旅行で見た北国や、いろいろ経験したことを、くわしく話しました。

たとえば、丹塗りの社があり、用水池があり、古墳はそのかたわらにあったことや、伝説の話や、棺を掘ったときのありさまなど、当時のことを、思い出しながら語ったのであります。

助手の小田さんは、目をかがやかして、博士のいうことを聞いていました。

「ただ、ふしぎなことが一つあった。それは、棺の中にあった七面の鏡が、一枚だけくさらずに、いまも光っているが、あとは六つとも、さびて、ぼろぼろになっていたことだ。おなじ金で造ったのであろうが、それは、どうしたことだろうか。」

博士は首をかしげながら、かばんの中の、古鏡をとり出して、小田さんにしめしました。

「私はこのなぞを、どうしても学問のためにも、解かなければならない。」と、博士はつづけていいました。

「むかしは、鏡を女のたましいともいいましたから、これには、たましいが、はいっているのかもしれませんね。」と、さすがに小田さんは、詩人らしい感想をもらして、うけとった鏡を、ていねいになでながら、しばらく、じっと見まもっていました。