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おごそかなかわき
おごそかな渇き
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《おごそかな渇き(おごそかなかわき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 36,042 字 · 71 頁
竹中啓吉はなにか特殊な用途の炭を焼くのだそうで、ひと晩だけ泊ると、すぐにまた山へ戻っていった。
「独りで留守番をしていて、淋しくもこわくもないの」
「初めはこわかったわ」とりつ子は答えて云った、「でもいまではもう慣れたから平気よ、淋しいことは淋しいけれど」
「そうだろうね」と隆二は頷いた、「お友達はいないの」
「ええ、あたし東京から来たでしょ、ここではよそから来た者は嫌われるの、言葉もよくはわからないし」りつ子は眼をそらしながら云った、「――それで小学校のときはよくからかわれて、泣いて帰ったことがあったわ」
けれども、それはここばかりではない。東京にいたとき、田舎から転校して来た生徒があると、「いなかっぺえ」といって、やっぱりみんなでからかったり、意地悪をしたりしたものだ。あたしは一度もそんなことはしなかったけれど、とりつ子は云った。ほんとよ、あたしはそんなこと決してしなかったわ、とりつ子はちからをこめて云った。
「そうだろうね」隆二はまた頷いた、「りっちゃんはそんな子じゃあないもの、云わなくったってぼくにはわかるよ」
そんな小さなとき、人間の心の中にはもう憎悪や敵意が芽生えるのか。