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おじさんのはなし

おじさんの話

小山 清

線上閱讀小山 清《おじさんの話(おじさんのはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,232 字 · 42 頁

青空文庫

○○寺はわりと小体な寺院であった。門構えも瀟洒で俗でなかった。私はまずその見かけに一目惚れをした。住職も必ずや奥床しい心根の、清貧に安んずる人に違いないという気がした。

庫裏の入口のわきに、一もとの栗の木があって、折から花をいっぱいつけていて、その匂いがはげしく鼻を刺戟した。私は案内を乞うた。

「ごめん下さい。ごめん下さい。」

応はない。奥の方からかすかに琴の音がきこえてきた。

「ごめん下さい。」

琴の音が止んだ。待つ間ほどなく、洋装の娘さんがあらわれた。

「野辺地さんの知辺の者ですが。」

「あ、おじさんですか。おじさんは一寸出かけておりますけど。」

おじさんは当寺に於ても、もはやおじさんと呼ばれているようであった。

「それでは後ほどまたお伺いします。」

「いいえ、すぐに戻って参りますから、よろしかったら、お待ちになって下さい。」

「それでは待たさせていただきます。」

私がそこの式台のはしに腰をかけようとしたら、娘さんは、

「あの、こちらでお待ち下さい。」

と云いつつ、下駄を突っかけて庫裏の外に出た。私は娘さんの後に従った。庫裏の横手に物置小屋のような軒の低い小家があって、娘さんはその軒下をくぐりながら、私をかえりみて、