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おのずからひくきに

おのずから低きに

宮本 百合子

線上閱讀宮本 百合子《おのずから低きに(おのずからひくきに)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,420 字 · 5 頁

青空文庫

所謂純文学作品と新聞小説と二股かけていて、新聞小説をかくことで、その作家たちの人気が量られているような状態から何となく刺戟されている気分と思える。

数年前、日本の社会経済の事情から、絵画がひどく売れなくなった時期があった。その前後に、これまでは決して插画を描かなかった小村雪岱、石井鶴三、中川一政などという画家たちが、装幀や插画にのり出して来て、その人々のその種の作品は、本格的な画家であるが故に珍重されつつ、その半面ではそのことで彼等の本格の仕事に一種派手やかな目を注がせる雰囲気をつくるものとなった。

画家の本道的な業績を、大局からみてこの新しい関係が高めたか、或は通俗に堕す部分を生ぜしめたかということは簡単に云い得ないけれども、文学についてみれば、或る作家たちが目下器用にこなしているこの両刀使いの方法は、少くとも、作家と読者との関係を文学の面で従来より高めたという結果は導き出していないのが、現在の実際だと思う。

読む心持のあり場所が、はじめは純文学作品の方にあってその人の新聞小説も読まれたのかもしれないが、だんだん新聞小説独特の空気に浸透されて来て、いくらか寝そべったような態度が、遂には純文学作品の体臭、身ごなしまで及び、書く方も読む方もそこで馴れ合ってしまっているような危険が非常にある。