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おこしょうこたろう

お小姓児太郎

室生 犀星

線上閱讀室生 犀星《お小姓児太郎(おこしょうこたろう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 7,011 字 · 14 頁

青空文庫

美しいふた峯の脊すじに、幾すじとない紫色を帯びた鞭の痕が、逡巡としてまざまざと残っていた。

弥吉は、一と目みるなり身ぶるいを感じた。そしてうつ向いて泪ぐんだ。児太郎は昂奮していたが、こんどは落ちついていた。しばらくしてから、弥吉は、顔をあげると、

「もっとお打ち遊ばせ。」

そう微笑んで言った。児太郎は、頭を振って、きゅうに女のように笑うと、強う、弥吉の目をさし覗いた。

「予がからだを自由にせい。よいか。」

児太郎は、寂しげな、しかも慣れた目付をしながら、それが常も女のような姿をしつらえているように、立って弥吉の肩をそっと打叩いた。弥吉は静かに女性にみることのできない、いわば歯がゆいような凜とした美しい顔をあげた。

「ついて来い。」

児太郎は、そのまま部屋へはいった。間もなく弥吉は、主人の×××××のである。

――弥吉は、それからそれへと考えているうち、児太郎の惨忍な性情が日増しに募っていることが感じられた。鞭打ちなどより、慄毛の立つような恐ろしい目に会ったりした。が、弥吉には、それが又不思議に、そうされるごとに、却って児太郎の美しさを滲み込むように体内に感じるのだった。