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おしげ

お繁

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《お繁(おしげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,857 字 · 14 頁

青空文庫

銀太郎はじっと変るのを待った。――しかし向うはまっすぐにやって来た、そして壁の中から抉り出しでもするように、霧を押分けながらいきなり鼻先へ現れた。

「あ! いけねえ、おーい!」

銀太郎が驚いて立上ったとき、大長丸は銀太郎の機械船の胴中へ舳を突きかけ、銀太郎を海のなかへはね飛ばした。

機械船は半分に砕け、舳のほうはそのまま沈んでしまった、そして銀太郎が浮上って、残った舟のかけらへ掴まって見まわしたときには、すでに大長丸は霧のなかへ見えなくなっていた。――それから一時間ほどして、銀太郎は九本松の兼吉の舟に助けられて家へ帰ったのである。

その村で機械船を持っていれば漁のほかに良い稼ぎができる、つまり都会からやって来る多くの釣師を相手に、ひどく暢気な、そのうえ高い料金や心付をもらえるのだ。――銀太郎はその機械船を手に入れた。彼は娯しい夢をいだきはじめた、その舟をうまく利用してみっちり貯めたうえもう一艘買う、それからもう一艘、――機械船が三ばいもあれば立派な船宿がやれる、そうなったら自分は船宿の主人で、いつも煙草をふかしたり客の酒の相手でもしていればいいのだ。