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おしげ

お繁

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《お繁(おしげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,857 字 · 14 頁

青空文庫

ひどい貧乏の沼で生立った銀太郎にとっては、この夢想は心臓を掻られるほど快いものであった。――その黄金の夢が、しかし大長丸の不注意で粉々に砕かれてしまったのだ。

「ひどいやつだ、ひとの機械船をぶっ壊して、ひとを死ぬようなめに遭わせて、知らん面あして行ってしめえやがった、おらあ大長丸を訴えてやるだあ」

銀太郎は怒りたけって叫んだ。

しかし、まだ彼は絶望してはいなかった、彼は大長丸の持主にかけあって弁償させるつもりであった。

「よし……」

と彼は頷いた、「おらあ頑張ってやる、そして沈んだやつより良いのを買わせてやるだ、二十馬力くれえのやつをよ……そのくれえのこたああたりめえだ」

銀太郎はでかけて行った。

だがすぐに蒼い顔をして帰って来た。かけあいはうまくいかなかった、まるで駄目だったのだ。大長丸の持主は扶原という老人で、その村でも一か二といわれる金持であり、貝の缶詰工場を二つも持っていたが、職人を酷使したりひどい吝嗇家として有名だった。

「そんなことはないよ」

と扶原老人は云った。「うちの大長丸の船長は腕利きだ、四五年前までは銚子沖でかじき船に乗っていたくれえだ、なんのためにいし……汝という意……の舟をぶっ壊す必要があるかい、ばかなことを云ってくれるものじゃねえ」