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あわもりものがたり

『たぬき汁』以後

佐藤 垢石

線上閱讀佐藤 垢石《『たぬき汁』以後(あわもりものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 118,470 字 · 244 頁

青空文庫

十七杯をあおった鯉屋利兵衛、めし五十四杯を掻っ込み、醤油二合をすすった泉屋吉蔵という順序で見物人の胆を奪ったのである。めしの十五杯や二十杯、酒の三升や五升をのんだのは、ものの数ではなかったのであろう。

天保の、万八樓の会は壮観であった。入口に受付の帳場を設え、来会者を次から次へ住所、氏名年齢、職業を記入する。来会者百六十二人、受付の次の間には羽織袴をつけた接待役が十人、客を待ち受けている。なかなかの配慮である。

選手が受付を通過してくると、まず予選として膳に向かわせ、飯の高盛り十五杯と汁五杯を勧める。米は肥後の上白、味噌は岡崎の八丁味噌、出しは北国の昆布、椀は一合五勺はたっぷり入る大ものだが、選手として自らを任じて集まった勇猛の人々であるから、これしきの風景では胆を冷やすような仁は一人もいない。しからばご免、と挨拶して競って箸をとり、椀の尻を握り、食うは食うはぺろりと食って予選通過は易々たるもの、落伍者は極めて少数であったという。

さて、選手達は本会場へ入ってみて、そのものものしさに驚いた。大広間である会場には目付方が三人控えて四方に眼をくばり、算盤を手にした計算方が三人、三人の記録方は机を前にして粛として座す。