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あわもりものがたり

『たぬき汁』以後

佐藤 垢石

線上閱讀佐藤 垢石《『たぬき汁』以後(あわもりものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 118,470 字 · 244 頁

青空文庫

これ雌狸、正体を現わして神妙にしろ。

とんでもない、わたしは狸などではありません。

畜生の分際で、お上の役人をたぶらかすとは僭上至極。既に、その方の相棒たる雄狸は成敗相済んだ。今度は、汝の正体引きむいてくれる。

いいえ、わたしは決してそんな魔性のものではありません。なにとぞ、お許しなされてくださりませ。

狸扱いを受ける小みどりは、あまりといえば突拍子もないお調べに、気も転倒せんばかりに泣き伏してしまった。

ほざくな、狸。それっ!

雀右衛門が一喝すると、数人の武士共は、手に手を棍棒を振り上げて、小みどりの頭から背中、お尻の方へかけて、滅多打ちに打ち据えたから、繊弱い女子の身の、間もなく呼吸が絶えてしまったのである。

例によって一人の武士が、小みどりの頭から冷水をかけた。この瞬間こそ、魔性が本体を現わす時だ。一同片唾を呑んで小みどりを凝視したけれど、一向に太い尻っ尾が出てこない。

もっと、水をかけろ。

武士は手桶から、瀧のように水をかけたが、小みどりはやはり小みどりのままで、長く伸びている。

よほど年をへたしぶとい狸と見える。もっと、棒で叩いてみろ。