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あわもりものがたり

『たぬき汁』以後

佐藤 垢石

線上閱讀佐藤 垢石《『たぬき汁』以後(あわもりものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 118,470 字 · 244 頁

青空文庫

屍体の骨が折れるほど、棒で撲った。しかし、やはり人間であって、雌狸とはならない。

怪しいことだ。或いは見当違いであったも知れないが、火をかければ熱さに堪えかねて、大狸となって走りだすかも知れない。ということになって、例の如く小みどりの屍へ粗朶を積み油をかけて火を放った。

けれど、さっぱり妖物とは化さぬのである。やがて、屍も粗朶の山も、灰となってしまったのである。ところで、灰のなかを掻きまわしてみると、前回と同じように、ふにゃふにゃした一塊が、焼け残っているではないか。

もう東の空に陽が上がった。朝の雲は静かである。

一人の侍が、そのふにゃふにゃを下駄で踏むと、前回と同じに、人間の形をなして小さなものが飛び出した。水で洗ってみたところ金色燦爛とした指頭大の、まがうかたなき男の姿、掌に乗せ、陽の光にすかしてみると、前夜離れの庭先へ忍び込んだ青年の面貌に、そっくりそのままだ。衣装から、髷の形まで。

雀右衛門は、あまりの珍事続出に、自分の膝をつねってみた。

諸君。一体これはどうしたことだろう。あるいは今われわれは、狸の怪につままれているのではないだろうか。