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ちいさこべ
ちいさこべ
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《ちいさこべ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 33,480 字 · 67 頁
十二
「わかったよ」と徳二郎が云った、「おめえがそういう気持ならいいんだ、おらあただ、子供のためにもと思ったもんだから」
「わかってくれりゃあいいんだ、つまらねえおだをあげて済まなかった」と茂次は穏やかに云った、「蜜柑の銭はすぐに届けるから勘弁してやってくれ」
済まなかった、と茂次はくり返し、三人は出ていった。番太の平助は気まずそうに、口の中でもごもご云い、片手で頭を押えながらとびだし、商人ふうの中年者は眼をそむけたまま、逃げるように出ていった。
かれらを見送ってから、茂次は子供部屋の障子をあけた。すぐそこにおりつが立っており、暗くなった向うの隅に、子供たちがかたまっていた。
「ごめんなさい」とおりつが彼の眼をみながら囁いた、「あたしが悪かったのよ」
茂次は子供たちのほうへいった。子供たちは互いに倚りかたまって、怯えたように茂次を見あげた。あっちゃんは市に肩を抱かれ、重吉は蒼白くひきつった顔で、ほかの者もみな硬ばった顔つきで茂次を見あげ、かたずをのんでいた。
十二
茂次は重吉のそばへゆき、つとめてやさしく頬笑みかけた。
「重公」と彼は云った、「懲りたか」
重吉はふるえながら、「ごめんなさい」