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のろのろほうだんのきょうい

のろのろ砲弾の驚異

海野 十三

線上閱讀海野 十三《のろのろ砲弾の驚異(のろのろほうだんのきょうい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,247 字 · 19 頁

青空文庫

私は、はげしい目まいをおさえて、しばらく強い光の中に、うつ伏していた。土竜ならずとも、この光線浴には参る。これも博士の警戒手段の一つである。

私は、ようやく光になれて、顔をあげることが出来た。

「やあ金博士。とつぜんでしたが、ロッセ氏を案内して、お邪魔に参りました」

「ほう、その人は、英国人じゃないだろうな。英国人なら、ここには無用だから、さっさと帰ってもらおう」

と、金博士は、大きなウルトラマリン色の色眼鏡を手でおさえながら、椅子のうえから立ち上ったのであった。

2

博士は、大の英国嫌いである。英国人と酒とは、大嫌いであった。

「ああ博士。ロッセ氏は日本人です」

「本当か、綿貫君。氏は、日本人にしては色が黒すぎるではないか」

綿貫とは、私の名前だ。

「氏は、帰化日本人です。その前は、印度に籍がありました」

「どうぞよろしく」

ロッセ氏は、流暢な日本語で、金博士にいんぎんな挨拶をした。

博士は、無言のまま肯いて、私たちに椅子を指すと、自分は再び椅子に腰をおろした。私たちの囲んだ机の上には、何をやっているのか分らないが、夥しい紙片が散らばっていた。そして紙片の上には、むずかしい数字の式が、まるで蟻の行列のように、丹念に書き込んであった。