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のろのろほうだんのきょうい

のろのろ砲弾の驚異

海野 十三

線上閱讀海野 十三《のろのろ砲弾の驚異(のろのろほうだんのきょうい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,247 字 · 19 頁

青空文庫

「きょうお連れしたロッセ氏は、電気砲学の権威です」と、私は紹介の労をとって、「ロッセ氏は、三ヶ月程前に、初速が一万メートルを出す電気砲の設計を完成されたのですが、残念にも、今日本では、それを引受けて作ってくれるところがないために、すっかりくさってしまわれたんです。それでこの上海へ、憂鬱な胸を抱いて、なにか気分をほぐすものはないかと、遊びに来られたのですが、私は、博士を御紹介するのがよいと思ったので、実は、ロッセ氏には事前に何にも申さないで、とつぜんここへお連れしたわけですから、どうぞ話相手になってあげていただきたい」

私が思いがけなくすっかり底を割ってしまったので、ロッセ氏は、私の話の途中、いくたびも仰天して、私の袖をひいて、話をやめさせようとしたほどであった。

博士は、かるくうなずいていたが、私の話を聞き終ると、

「それは、くさるのも無理ではない」

と、同情の言葉を洩らし、

「わしは、あなたがロッセ氏であることは、今綿貫君の紹介で初めて知ったわけだが、しかしあなたのことは、電気砲の論文を読んで、前から知っていたよ」

と、たいへんいい機嫌の様子で、立ち上ってロッセ氏の黒い手を握った。