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のろのろほうだんのきょうい

のろのろ砲弾の驚異

海野 十三

線上閱讀海野 十三《のろのろ砲弾の驚異(のろのろほうだんのきょうい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 9,247 字 · 19 頁

青空文庫

ホテル・クナンの、しずかな酒場の片隅に、ロッセ氏は、私を連れていった。

「この卓子は、僕の特約の席なんだ。では、お互いの健康を祝して……」

と、ロッセ氏は、琥珀色の液体の入ったグラスを高くさしあげて、唇へ持っていった。

「ふう、これでやっと落着いた。金博士も、ひどいところを素破ぬいて、悦んでいるんだねえ。宿敵艦隊の一件が、あそこで曝露するとは、思っていなかった」

「まあいいよ。私も、すこし独断だったけれど、あなたを早く、博士に紹介しておいた方がいいと思ったもんだから、黙って連れていったんだ」

「ああ、金博士は、驚異に値する人物だ。一体あの人は、中国人かね、それとも日本人かね」

「そのことだよ」

と、私は、グラスの酒を、きゅうとのみ乾して、

「一体、金という名前は、中国にもあるし、日本人にもある。それから朝鮮にもあるんだ。もちろん満洲にもあることは、君も知っているだろう。ところで博士は、その中の、どこの人間だか知らないといっている。博士は捨児だったんだ。たしかに東洋人にはちがいないが、両親がわからないから、日本人だか中国人だか分らないといっている」

「赤ちゃんのときは、何語を話していたのかね」