輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

へちまのき

へちまの木

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《へちまの木(へちまのき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 29,120 字 · 58 頁

青空文庫

「懲りたのは親のほうってわけか」

「みごとにしっぺ返しをくらったようなものさ」

房二郎はまた微笑し、けれどもすぐに、眉をしかめた。その子は町内の人たち総出で捜しだされた。おれのうちはどうだろう、父や母や兄や姉たちは、おれを捜しているだろうか。いや、そうではあるまい、おそらく厄介払いをしたと、ほっとしていることだろう、と彼は思った。

「おい、おちょぼ」と前にいる男が小女を呼んだ、「そこにいるおちょぼ、聞えないのか」

指をさされた小女はむっとしたように、頬をふくらせてこっちへ来ながら、自分の名はおつゆで、おちょぼなんていうへんてこなものではない、と抗議した。

「おつゆだって」と男はよく動く眼でじっと小女をみつめながら、歯を見せて、声を出さずに笑った、「悪かったな、ずいぶん丈夫そうなおつゆさんだ、お通じはきちんとあるかい」

房二郎は危なくふきだしそうになった。

「わかんねこと云うお客だよ、このひと」とその小女は云った、「用はなんだね」

「酒と刺身だ」と男は云った、「刺身は鮪の中とろだよ」

おかしな注文をするな、と房二郎は思った。鰺の塩焼の次に芋汁、そして甘煮のあとで刺身とは、順序が逆のようじゃないか。